2023年4月、NVIDIAのGPUのRTX 4070を搭載したビデオカードの販売が開始されました。
RTX 4070の立ち位置は、RTX 4070 SUPERとRTX 4060 Tiの丁度中間に位置します。性能は下位モデルのRTX 4060 Tiを大きく上回り、WQHD解像度をターゲットしているプレーヤーには最適なビデオカードなので人気が高いです。
もちろん、最新のDLSS3にも対応しているので、対応ゲームではさらにゲームのフレームレートを押し上げることが可能です。
今回の記事ではRTX 4070の特徴、ゲーム性能を解説し、最後におすすめのゲーミングPCを紹介します。
RTX 4070とは
RTX 4070 SUPER | RTX 4070 | RTX 4060 TI | |
---|---|---|---|
CUDAコア数 | 7,168 | 5,888 | 4,352 |
ベース/ブーストクロック | 1980MHz / 2475MHz | 1920MHz / 2475MHz | 2,310MHz / 2,535MHz |
標準メモリ構成 | GDDR6X 12GB(192bit) | GDDR6X 12GB(192bit) | GDDR6 8GB/16GB(128bit) |
レイトレーシングコア(RTコア) | 56(第3世代) | 46(第3世代) | 34(第3世代) |
Tensorコア | 224(第4世代) | 184(第4世代) | 136(第4世代) |
NVIDIAアーキテクチャー | Ada Lovelace | Ada Lovelace | Ada Lovelace |
NVIDIA DLSS | 3 | 3 | 3 |
NVIDIA Encoder(NVENC) | 第8世代×1 | 第8世代×1 | 第8世代×1 |
AV1エンコード/デコード | 〇/〇 | 〇/〇 | 〇/〇 |
グラフィックスカード電力(W) | 220 | 200 | 160(8GB)/165(16GB) |
システム電力要件(W) | 650 | 650 | 550 |
必須の電源 | 8ピン×2または300W以上の12VHPWR×1 | 8ピン×2(×1の場合も)または300W以上の12VHPWR×1 | 8ピン×2(×1の場合も) |
参考価格 ※2024年4月現在 | 約98,000円 | 約83,000円 | 約58,000円(8GB版) 約68,000円(16GB版) |
CUDAコア数を見てわかる通り、RTX 4070のスペックは上位モデルのRTX 4070 SUPERと下位モデルのRTX 4060 Tiの丁度中間に位置しています。
VRAM容量は12GBを搭載しているので、その点は上位モデルのRTX 4070 SUPERと同じです。RTX 4060 TiのVRAM容量は8GBなので、その点は明確なアドバンテージとなっています。
ただし、RTX 4060 TiはVRAM容量が8GB版と16GB版と2種類あり、16GB版であれば、VRAM12GBのRTX 4070を上回ります。
グラフィックスカード電力(W)を比較すると、RTX 4070はRTX 4070 SUPERと比較して、約20Wほど少なく、RTX 4060 Tiと比較して、約40W多いです。
ワットフォーマンスでは、RTX 4070 SUPERに軍配が上がります。
そのほか、AV1エンコードに対応しています。画質を維持したまま容量を大幅に減らせるので、ゲーム配信や動画編集用のプレー動画を録画する際に役立ちます。
RTX 4070のゲーム性能について
RTX 4070のゲーム性能を他のGPUと比較します。なお、ゲームのグラフィック設定は最高設定に統一しています。
検証環境を見るにはここをクリック
検証環境
検証環境 | |
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CPU | インテル 「Core i5-14600KF」 |
CPUグリス | ARCTIC 「MX-4」 |
ビデオカード | GAINWARD 「RTX4070 GHOST 12GB」 |
マザーボード | GIGABYTE「B760 AORUS ELITE」 |
メモリ | Kingston 「FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)」(16GB×2) (DDR5-4800に設定) |
SSD | Kingston「NV2 SSD 2TB」 Western Digital「WD_BLACK SN770 NVMe 1TB」 Western Digital「WD Blue SN580 NVMe SSD 1TB」 |
電源ユニット | Corsair「RM750e」 |
PCケース | XPG「VALOR AIR JP2」 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
軽量級ゲーム
軽量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均260fps、WQHD解像度では176fps、4K解像度では88fpsでした。
下位モデルのRTX 4060 Tiと比較すると、フルHD解像度では約20%、WQHD解像では約26%、4K解像度では約29%上回っています。
検証に使用した軽量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 4070の平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
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レインボーシックスシージ | 403fps | 261fps | 125fps |
オーバーウォッチ2 | 245fps | 170fps | 88fps |
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー | 176fps | 126fps | 63fps |
BLUE PROTOCOL | 215fps | 148fps | 75fps |
中量級ゲーム
中量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均156fps、WQHD解像度では122fps、4K解像度では78fpsでした。
下位モデルのRTX 4060 Tiと比較すると、フルHD解像度では約29%、WQHD解像では約29%、4K解像度では約33%上回っています。
検証に使用した中量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 4070の平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
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Forza Horizon 5 | 150fps | 128fps | 91fps |
アサシンクリードミラージュ | 149fps | 114fps | 66fps |
Call of Duty: Modern Warfare III | 170fps | 124fps | 76fps |
重量級ゲーム
重量級のゲームの平均fpsは、フルHD解像度では平均121fps、WQHD解像度では90fps、4K解像度では48fpsでした。
下位モデルのRTX 4060 Tiと比較すると、フルHD解像度では約19%、WQHD解像では約26%、4K解像度では約30%上回っています。
検証に使用した重量級ゲームタイトルと各ゲームタイトルのRTX 4070の平均fps
ゲームタイトル | フルHD解像度 | WQHD解像度 | 4K解像度 |
---|---|---|---|
Watch Dogs: Legion | 127fps | 94fps | 52fps |
アーマードコア6 | 118fps | 108fps | 62fps |
サイバーパンク2077 | 117fps | 68fps | 30fps |
DLSS
RTX 4070はDLSS 3.0(FG)に対応しています。対応ゲームであれば、DLSSを設定していない状態に比べると、2倍以上平均フレームレートが上昇します。
RTX 4070の強みと弱みについて
強み | 弱い |
---|---|
フルHD、WQHD解像であれば、ハイフレームレートでゲームがプレーできる DLSS 3.0(FG)対応 VRAM容量は12GBと余裕がある AV1エンコードに対応 | 重量級ゲームの4K解像度のプレーは厳しい RTX 4070 SUPERのほうがワットパフォーマンスは優秀 |
RTX 4070のゲーム性能は十分高く、WQHD解像度までであれば、144fpsでゲームプレーすることも十分可能です。
一方、4K解像度では例えば、重量級ゲームのサイバーパンク2077、Watch Dogs: Legionのプレーは正直厳しいです。
とはいえ、アーマードコア6では平均60fpsでゲームプレーも可能なので、一概には4K解像度のゲームプレーは不可能というわけではないです。ただ、全体的に見て4K解像度でのゲームプレーは厳しいのは事実です。
どうしてもフレームレートが足らない場合、DLSSなどのアップスケーリングを組み合わせることで、フレームレートを押し上げることが可能です。
さらに、DLSS 3.0(FG)対応ゲームであれば、さらにフレームレートを伸ばすことも可能です。
VRAM容量は12GBですが、正直ほとんどのゲームでは十分事足ります。VRAM容量8GBでは厳しいゲームも出てきているので、その点12GBもあるとVRAM容量不足に悩むことなく、余裕をもってゲームをプレーできます。
競合となるのはRTX 4070 SUPERですが、ゲームによっては、平均フレームレートは10~20fps位差が開きます。ゲーム性能は明確に差はあるので、より快適にゲームをプレーしたいのなら、RTX 4070 SUPERのほうをおすすめします。
RTX 4070搭載おすすめゲーミングPC
G-GEAR GA7A-D230BN/CP2
スペック | |
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CPU | Ryzen 7 5700X |
GPU | RTX 4070 |
メモリ | 32GB (16GB x2) |
ストレージ | 1TB M.2 Gen 4 NVMe SSD |
M.2スロット | 2個(空きスロット1) |
マザーボード | MSI B550-A PRO (ATX) |
電源 | 750W 80PLUS GOLD |
価格 | 197,980円+送料0円 |
TSUKUMOの「G-GEAR GC5J-D231B/R/CP2
CPUに「Ryzen 7 5700X」を搭載しています。
「Ryzen 5 5700X」は8コア16スレッドのZEN3世代のCPUで、性能は十分高く、RTX 4070あたりのビデオカードとの組み合わせであれば、極端な性能不足を感じることはほとんどないです。
ただ、CPU性能はそこまで高くないので、動画編集のソフトウェアエンコードなど、クリエイティブ性能は少し弱いです。
ストレージはGen4接続の「WD Black SN770 WDS100T3X0E」の1TBモデルを搭載。ゲーム向けのSSDで、DRAMキャッシュ非搭載でありながら、体感性能はハイエンドクラスのSSD並みの性能です。
マザーボードは拡張性がそこそこ高い、ATXサイズの「MSI B550-A PRO 」を採用。M.2スロットは2基あり、空きスロットは1基あるので、SSDの増設も可能です。
メモリは大容量のセンチュリーマイクロ製のDDR4-3200の32GB(16GB×2)を搭載しています。
PCケースはG-GEAR ミドルタワーケースを採用。フロントはメッシュデザインが採用されており、エアフローを重視しています。ケースの寸法は幅(W):約190mm x 高さ(H):約435mm x 奥行(D):約475mmです。
即納モデルなので送料は無料ですぐに出荷されます。ただし、カスタマイズは一切できないのでその点は注意が必要です。
採用されている各パーツの品質は高く、それでいて、RTX 4070を搭載しつつ、20万円以下に抑えているので総じてコスパパフォーマンスは優秀です。
メリット | デメリット |
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コスパは優秀 大容量メモリ(32GB) ストレージは「WD Black SN770」を搭載 M.2 NVMe SSDの増設は可能 GOLD認証の電源を搭載 | クリエイティブ性能は少し弱い LEDやガラスパネルは採用されておらず、地味なデザイン |
Lenovo Legion Tower 5 Gen 8
CPU:Ryzen 7 7700X
GPU:RTX 4070
メモリ:DDR5-5600 16GB
ストレージ:1TB M.2 NVMe SSD
電源:-
価格:199,870円
以上が筆者がおすすめするRTX 4070搭載モデルです。正直、RTX 4070搭載モデルになると一気に値段が跳ね上がり、20万円後半になるのが当たり前の世界になります。その点今回おすすめする2台は自作PCをするより安いといえるほど、安価となっています。
まとめ
RTX 4070搭載モデルはBTO各社のモデルをまとめてみると、極端に安いものから高いものまで幅が広い印象です。
ただ、よく探していて見ると、20万円前後で売り出しているモデルも見つかります。
コスパの良いRTX 4070搭載モデルを探しているのなら、予算は20万円~25万円ほど用意しておけば問題ないと思います。