HDDにはCMRとSMRという2種類の書き込み方式があります。よく言われているのが、CMRのほうがSMRより性能が高いということです。
そこで今回、CMRのWD40EZRZとSMRのST4000DM004の性能を比較して、実際のところどうなのか、検証したいと思います。

目次
CMRとSMRについて
冒頭で話した通り、HDDは「CMR」と「SMR」という2種類の書き込み方式があります。この2つの書き込み方式については下記記事にて詳しく解説していますので、ここでは簡単に解説します。
こちらもCHECK
-
-
記録方式のCMR、SMRの違いとは?CMR、SMRのHDDリストも掲載
HDDの書き込み方式は大まかに分けて、「CMR」と「SMR」の2種類があります。 この2つの書き込む方式、違いが非常にわかりづらく、完全に理解している人は少ないと思います。というか、これらの言葉自体を ...
続きを見る
CMRはConventional Magnetic Recordingの略称で、従来型磁気記録方式という意味です。昔からあるタイプの記録方式です。
一方、SMRはShingled Magnetic Recordingの略称で、瓦磁気記録方式という意味です。メディアキャッシュと呼ばれるものが必要で、どちらかというとSSDに近い構造になっています。
そのため大量の書き込みが行われた場合、メディアキャッシュが切れ、ランダムライト性能が大きく低下すると言われています。
WD40EZRZ(CMR)とST4000DM004(SMR)のパフォーマンス比較
CMRはWestern DigitalのWD40EZRZで、SMRはSeagate BarraCudaのST4000DM004です。両方とも容量は4TBで、5400RPMとスペック上の見た目は互角です。
CrystalDiskMark
シーケンシャルでは若干ですが、ST4000DM004(SMR)のほうが優れていましたが、ランダムアクセスではWD40EZRZ(CMR)のほうが優れていました。
TxBENCH(詳細ベンチマーク)
TxBENCHの詳細ベンチマークです。ランダムアクセスの性能をグラフで表しています。
WD40EZRZ(CMR)の方の波形は終始安定していますが、ST4000DM004(SMR)はキャッシュがきれたのが原因なのか、書き込めるデータ量がガクンと低下し、波形が乱れています。
AS SSD Benchmark
読み込みは互角ですが、書き込みでST4000DM004(SMR)の方は性能を落としてしまいました。結果として総合的なスコアではWD40EZRZ(CMR)の方に軍配が上がりました。
実際に書き込み速度を検証
データをHDDに移したときの時間を計測します。ちなみにデータは40GBです。結果はWD40EZRZ(CMR)のほうが3秒ほど速く、データの移し替えが完了しました。
WD40EZRZ(CMR) | 4分41秒 |
ST4000DM004(SMR) | 4分44秒 |
実際に読み込み速度を検証
FF14のベンチマークの起動までのローディング時間を計測しました。ST4000DM004(SMR)のほうが1秒ほど速くローディングが完了しました。
WD40EZRZ(CMR) | 13秒16ミリ秒 |
ST4000DM004(SMR) | 12秒06ミリ秒 |
実際にCMRとSMRを両方使用して性能の違いを感じるか?
実際に自分はCMRのWD40EZRZと、SMRのST4000DM004を併用して使っています。用途としては主に、画像や動画ファイルの保存です。
CMRのWD40EZRZと、SMRのST4000DM004は、ベンチマークこそ差がつきましたが、正直、体感上、性能の差を感じたことはありません。
自分と同じような画像ファイルの保存用途であれば、CMRとSMRの違いについて、特に気にする必要はないと思います。
ただ、やはりランダム性能については明確にSMRの方が劣っていると言えます。大勢の人が同時にアクセスするNASなどはランダム性能が重視されます。
そういう用途であれば、素直にCMRの使用を推奨します。
また、どうしても速度を気にするのなら、初めから、HDDよりもSSDを選んだ方が賢明です。シーケンシャル、ランダムアクセスともに、SSDのほうが、HDDより圧倒的に優れています。
まとめ
今回は、各種ベンチマークを使用して、CMRのWD40EZRZと、SMRのST4000DM004を検証してみました。ベンチマークでは差がつきましたが、自分の体感ではほとんど差を感じませんでした。
後は信頼性ですが、この2つのHDDはまだ使い始めて半年もたっていないので正直わかりません。これから長くつかうことになるので、もし何かあればまた記事にしたいと思います。