昨今、ビデオカードの価格は高騰しつづけています。
そんな状況下でも「NVIDIA GTX 1650」と「RADEON RX 6400」と「インテル Arc 380」の3つのビデオカードは2万円という価格をキープしており、低価格帯のビデオカードとして存在感を放っています。
性能と価格のバランスを考えて、どのビデオカードを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか?
本記事ではゲームベンチマークを実際に実行し、ゲーム性能を比較検証したいと思います。
GTX 1650とRX 6400とArc 380の仕様を比較
![GTX 1650とRX 6400とArc 380の仕様を比較](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/GTX1650-RX640-Arc380-1024x577.jpg)
GTX 1650 | RX 6400 | Arc 380 | |
---|---|---|---|
シェーダー数 | 896 | 768 | 8 |
ベース/ブーストクロック | 1485MHz / 1665MHz | 2039MHz / 2321MHz | 2000MHz / – |
標準メモリ構成 | GDDR6 4GB | GDDR6 4GB | GDDR6 6GB |
レイトレーシングコア(RTコア) | なし | 12 | 8 |
Tensorコア | なし | なし | 128 |
アーキテクチャー | Turing | RDNA 2.0 | Xe-HPG |
ハードウェアエンコード | NVEnc | なし | QSV(Xe Media engine) |
PCIe | PCIe 3.0×16 | PCIe 4.0 ×4 | PCIe 4.0 ×8 |
グラフィックスカード電力 | 75W | 53W | 75W |
補助電源 | なし | なし | なし |
参考価格 ※2024年3月現在 | 約24,000円 | 約22,000円 | 約18,000円 |
まず仕様を比較します。
3Dグラフィックス性能に直結するシェーダー数に関しては、一番数の多いGTX 1650が上回っています。
ただ、NVIDIAはCUDAコア数、RADEONはシェーダー数、インテルはXeコア数とそれぞれ種類が異なるので単純な比較ができません。
ただ、VRAM容量については、GTX 1650、RX 6400が4GBなのに対して、Arc 380は6GBと多く、明確なアドバンテージがあります。
RTX 4060 TiはVRAM容量が8GB版と16GB版と2種類あり、16GB版であれば、VRAM12GBのRTX 4070を上回ります。
また、RTコア、Tensorコアの両方を搭載しているのがArc 380のみです。
ハードウェアエンコードに関しては、GTX 1650はNVEncを搭載、Arc 380はQSV(Xe Media engine)を搭載しているのに対して、RX 6400は非搭載です。
特にArc 380はAV1エンコード/デコードに対応します。
一方、RX 6400はハードウェアエンコードを搭載していないので、動画編集や配信などで、GPUに処理を委ねることができません。
GTX 1650とRX 6400とArc 380のゲーム性能を比較
検証環境
![検証環境](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/02/MUGEN6-BLACK-EDITION-Verification-environment-1024x577.jpg)
検証環境 | |
---|---|
CPU | インテル 「Core i5-14600KF」 |
CPUグリス | ARCTIC 「MX-4」 |
ビデオカード | ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 OC GDDR6」 SAPPHIRE「PULSE Radeon RX 6400 GAMING 4GB GDDR6」 SPAKLE「Intel Arc A380 ELF」 |
マザーボード | GIGABYTE「B760 AORUS ELITE」 |
メモリ | Kingston 「FURY Renegade DDR5 RGB メモリ(型番:KF580C38RSAK2-32)」(16GB×2) (DDR5-4800に設定) |
SSD | Kingston「NV2 SSD 2TB」 Western Digital「WD_BLACK SN770 NVMe 1TB」 Western Digital「WD Blue SN580 NVMe SSD 1TB」 |
電源ユニット | Corsair「RM750e」 |
PCケース | XPG「VALOR AIR JP2」 |
OS | Windows 11 Home 64bit版 |
![GTX 1650とRX 6400とArc 380](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/GTX-1650-RX-6400-Arc-380-1024x577.jpg)
ここからは実際にGTX 1650とRX 6400とArc 380をパソコンに組み込んで性能をチェックします。
![Core i5-14600KF](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/02/corei5-14600KF-BOX-scaled.jpg)
CPUにCore i5-14600KFを使用します。インテル第14世代のCPUで、Pコアが6つ、Eコアが8つ、計14コア20スレッドのCPUです。
アーキテクチャーに「Raptor Cove」を採用し、さらにL2キャッシュの量も24MBと多く、ゲーム性能が高いCPUとなっています。
![](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/02/corei5-14600KF-BOX-300x169.jpg)
基本性能を定番ツールで計測
![3DMark(ラスタライズ系)](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/3Dmark-Rasterize-1.jpg)
まず「3DMark」のラスタライズ系の結果です。
Fire StrikeではRX 6400が10,000を超えており、一番高いスコアを獲得しました。Time Spy、Time Spy ExtremeではArc 380が一番高いスコアを獲得しています。
総合的に見ると、これらのベンチマークではArc 380が最もパフォーマンスを発揮しているように見えます。
![3DMark(レイトレーシング系)](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/3Dmark-raytracing-1.jpg)
次はレイトレーシング系です。
GTX 1650、RX 6400はベンチマークを実行できませんでしたが、唯一、Arc 380のみベンチマークをはしらせることができました。
ただ、スコアは低調なので、Arc 380でレイトレーシングをオンにしてのゲームプレーは事実上不可能です。
フルHD解像度のゲーム性能
軽量級ゲーム
![tom clancy's rainbow six siegeの平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/TomClancysRainbowSixSiege-bench.jpg)
GTX 1650、RX 6400、Arc 380の平均fpsは100を超えており、快適にゲームをプレーできます。しかしArc 380だけ突出してパフォーマンスが悪く、GTX 1650、RX6400と比較すると約30fps低い結果に終わりました。
![Overwatch2の平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/Overwatch-2-bench.jpg)
GTX 1650、RX 6400、Arc 380の平均fpsは100を超えており、快適にゲームをプレーできます。特にGTX 1650は平均200fpsに達しています。
しかしArc 380だけ突出してパフォーマンスが悪く、GTX 1650と比較すると約40fps低い結果に終わりました。
![FF14の平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/FF14-bench.jpg)
GTX 1650、RX 6400、Arc 380の平均fpsは100を超えており、快適にゲームをプレーできます。特にGTX 1650は平均150fpsに達しています。
しかしArc 380だけ突出してパフォーマンスが悪く、GTX 1650と比較すると約40fps低い結果に終わりました。
![BLUEPROTOCOLの平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/BLUEPROTOCOL-bench.jpg)
GTX 1650、RX 6400、Arc 380の平均fpsは100を超えており、快適にゲームをプレーできます。特にGTX 1650は平均150fpsに達しています。
しかしArc 380だけ突出してパフォーマンスが悪く、GTX 1650と比較すると約40fps低い結果に終わりました。
中量級ゲーム
![ForzaHorizon5の平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/ForzaHorizon5-bench.jpg)
GTX 1650、RX 6400、Arc 380の平均fpsは100を超えており、快適にゲームをプレーできます。このゲームに関しては、Arc 380の相性が良く、良好なパフォーマンスを発揮しています。
おそらく、Forza Horizon 5は最低設定もVRAM容量が4GBを超えるため、VRAM6GBあるArc 380が有利に働いたのかもしれません。
重量級ゲーム
![watch dogs legionの平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/WatchDogsLegion-bench.jpg)
GTX 1650、RX 6400の平均fpsは60を超えており、快適にゲームをプレーできます。
しかしArc 380だけ突出してパフォーマンスが悪く、GTX 1650と比較すると約20fps低い結果に終わりました。
![assasins creed mirageの平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/AssassinsCreedMirage-bench.jpg)
GTX 1650、RX 6400の平均fpsは60に達しそうで、快適とはいえないですが、普通にゲームはプレーできます。
しかしArc 380だけ突出してパフォーマンスが悪く、GTX 1650と比較すると約20fps低い結果に終わりました。
![Cyberpunk 2077の平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/Cyberpunk2077-bench.jpg)
RX 6400の平均fpsは60を超えており、快適にゲームをプレーできます。このゲームに関しては、RX 6400の相性が良く、良好なパフォーマンスを発揮しています。
GTX 1650とArc 380に関してはほぼ同じくらいのパフォーマンスでした。
アップスケーリング適用
ここからはアップスケーリングを適用した状態のゲームパフォーマンスをチェックします。GTX 1650、RX 6400はFSRを、Arc 380はXESSを適用します。なお、XESSがない場合、Arc 380にはFSRを適用します。
また、RX 6400のみ、AFMFも適用しています。AFMFも適用するとRADEONソフトウェアでのみfpsを計測できます。その際、1%Lowは取得できないので、RX 6400のみ最低fpsを計測します。
![assasins creed mirage(アップスケーリング適用)の平均fps](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/Assassins-Creed-Mirage-upscaling.jpg)
GTX 1650、RX 6400、Arc 380の平均fpsは60を超えており、快適にゲームをプレーできます。特にAFMFを適用させたRX 6400は平均100fpsを超えています。
![Forza Horizon5の平均fps(アップスケーリング適用)](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/ForzaHorizon5-upscaling.jpg)
Forza Horizon 5に関してはアップスケーリングの効果はほぼないです。ただ、AFMFだけは明らかに効果があり、RX 6400の平均fpsは150を超えています。
![Cyberpunk2077の平均fps(アップスケーリング)](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/cyberpun2077-upscaling.jpg)
GTX 1650、RX 6400、Arc 380の平均fpsは60を超えており、快適にゲームをプレーできます。特にAFMFを適用させたRX 6400は平均100fpsを超えています。
![](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2023/02/cropped-illust9_01-150x150.png)
AFMFの効果は凄まじいです。RX 6400はこの機能を有効させることで一気にゲーム性能が化けます。
GTX 1650とRX 6400とArc 380のグラフィックスカード電力(W)を比較
![GTX 1650とRX 6400とArc 380のグラフィックスカード電力(W)を比較](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/videocard-watt.jpg)
![GTX 1650とRX 6400とArc 380のグラフィックスカード電力(W)を比較](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/videocard-watt.jpg)
グラフィックカード電力(W)はHwinfoを用いて、アイドル時と3DMarkのTimeSpy実行中の消費電力を計測します。
アイドル時、高負荷時ともにGTX 1650が突出して、グラフィックカード電力(W)が高かったです。逆に低かったのはRX 6400です。
ワットパフォーマンスはRX 6400が一番優秀でした。
GTX 1650とRX 6400とArc 380、結局どれがおすすめ?
全8ゲームのベンチマークを検証してきましたが、検証に使用した全ゲームの平均fpsをグラボごとにまとめたのが以下の表です。
GTX 1650 | RX 6400 | Arc 380 |
---|---|---|
124fps | 116fps | 98fps |
GTX 1650、RX 6400が競っている中、Arc 380は明らかにこの両GPUの後塵を拝している形になっています。
一番スペックが良さそうなArc 380のゲーム性能が伸び悩んでいるのは、やはりゲームドライバーの最適化がまだまだ甘いのが理由かもしれません。
ゲーム目的であれば、Arc 380はおすすめしません。
ただし、AV1エンコード、デコードに対応など優秀なハードウェアエンコードを搭載しているので、その点に魅力を感じれば、選択肢に入れてもいいかもしれません。
残りはGTX 1650、RX 6400になりますが、純粋にゲーム目的であれば、自分ならRX 6400をおすすめします。
![AFMF](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/AFMF-1024x576.jpg)
![AFMF](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/03/AFMF-1024x576.jpg)
やはり、AFMFが使えるのはRX 6400の大きなアドバンテージになります。この機能を有効にするだけでフレームレートが爆発的に伸びます。
GTX 1650はNVEncが搭載されている点は魅力的です。ゲームや動画編集など、幅広く活躍させたいのであれば、RX 6400よりもGTX 1650のほうが向いています。
まとめると以下の通りです。
・純粋にゲーム目的であれば、RX 6400がおすすめ
・AV1エンコード、デコードを使いたいのならArc 380がおすすめ
・ゲーム、動画編集など幅広い用途ならGTX 1650がおすすめ
GTX 1650を探す
RX 6400を探す
Arc 380を探す
GTX 1650搭載おすすめゲーミングPC
![](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2023/02/cropped-illust9_01-150x150.png)
![](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2023/02/cropped-illust9_01-150x150.png)
![](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2023/02/cropped-illust9_01-150x150.png)
残念ながらArc 380、RX 6400の搭載モデルのBTOはほとんどなく、選択肢に乏しいです。このクラスだと実質GTX 1650搭載モデルが主流となっています。
AeroStream RM7A-E223/B
![](https://www.tsukumo.co.jp/bto/pc/common/img/case/aero_minitower_ex-01t-m_270x250.png)
![](https://www.tsukumo.co.jp/bto/pc/common/img/case/aero_minitower_ex-01t-m_270x250.png)
スペック | |
---|---|
CPU | Ryzen 7 5700X |
GPU | GTX 1650 |
メモリ | 8GB (8GB x1) |
ストレージ | 500GB M.2 Gen 4 NVMe SSD |
M.2スロット | 1基(空きスロット0) |
マザーボード | ASUS PRIME A520M-E (MicroATX) |
電源 | 550W 80PLUS BRONZE |
価格 | 104,800円+送料2,200円 |
TSUKUMOの「AeroStream RM7A-E223/B
「Ryzen 7 5700X」は8コア16スレッドのZEN3世代のCPUで、性能は十分高く、GTX 1650との組み合わせであれば、十分性能を引き出すことができます。
ストレージはGen3接続の500GBモデル、メモリはDDR4-3200の8GB(8GB×1)を搭載しています。
マザーボードはMicroATXサイズの「ASUS PRIME A520M-E」を採用。M.2スロットは1基ありますが、空きスロットは0です。M.2 SSDの増設は不可能です。
PCケースはエアフローを重視したAeroStream専用オリジナルケースを採用しています。
ケースの寸法は約180mm(幅)x約358mm(高さ)x約406mm(奥行)です。
メリット | デメリット |
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CPUがRyzen 7 5700Xを採用 | M.2 NVMe SSDの増設はできない ストレージが500Gと容量が少ない メモリが8GBと容量が少ない |
![](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/04/GTX-1650-gaming-pc-300x158.jpg)
![](https://mogalabo.com/wp-content/uploads/2024/04/GTX-1650-gaming-pc-300x158.jpg)
まとめ
RX 6400はAFMFによってフレームレートは爆伸びします。ただ、AFMFはフレームを間に挟み込む技術なので、どうしても遅延が発生してしまいます。
FPSや格闘ゲームなど、反応速度が重要なゲームをプレーするつもりなら、AFMFの使用は避けた方が無難です。