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DeskMeet B660をレビュー!ビデオカードを搭載できる小型ベアボーンPC

deskmeet

小型PCは文字通り、非常に小さいデスクトップPCのことを指します。しかし、その小ささがあだとなり、ビデオカードを搭載できないモデルが多いです。

今回は数少ない、ビデオカードが搭載できる小型ベアボーンPC、Asrockの「DeskMeet B660」をレビューしたいと思います。

モガ
ベアボーンとは「半完成品の状態で売られているPC」のことです。PCケース、マザーボード、電源などがあらかじめ組み込まれた状態になっています。残りのCPU、メモリ、ハードディスクなどを自分で購入して取り付けるとPCが完成します。

Asrock Deskシリーズとは?

AsrockはミニPCをいくつか展開していますが、その中でも「Deskシリーズ」は小型ベアボーンPCとして人気が高いです。

「Deskシリーズ」は大きくわけて、「DeskMeet」と「DeskMini」に分かれます。

「DeskMeet」はミニPCというより、サイズ的にキューブタイプの小型ベアボーンPCです。サイズは容量8Lの168 (幅) x 236.1 (奥行) x 221.6(高さ) mmです。

ミニPCよりサイズ感は大きいですが、長さ20cmまでのビデオカードが搭載できるのが最大の強みです。

インテルCPU向けの「DeskMeet B660/B/BB/BOX/JP」と、AMD CPU向けの「DeskMeet X300/B/BB/BOX/JP」の2種類が存在します。

一方、「DeskMini」はサイズが容量1.92L、155 (幅) x 155 (奥行) x 80 (高さ) mmなので、完全なるミニサイズのベアボーンPCです。 「DeskMeet」と比較すると、サイズ感は一回り小さいです。

その代わり、「ビデオカードが搭載できない」、「ノート向けのメモリ、SO-DIMMのみ対応」、「フロントのUSB端子の数が少ない」といったデメリットがあります。

インテルCPU向けの「DESKMINI B660/B/BB/BOX/JP」、「DeskMini H470/B/BB/BOX/JP」、「DESKMINI H310/B/BB/BOX/JP」、AMD CPU向けの「DeskMini X300/B/BB/BOX/JP」、「DeskMini A300/B/BB/BOX/JP」の5種類が存在します。

ただ、「DESKMINI H310/B/BB/BOX/JP」、「DeskMini A300/B/BB/BOX/JP」はほぼ絶版なので、実質購入できるのは、「DESKMINI B660/B/BB/BOX/JP」、「DeskMini H470/B/BB/BOX/JP」、「DeskMini X300/B/BB/BOX/JP」の3種類になります。

DeskMeet B660の仕様

対応CPU インテル第12世代、第13世代(LGA1700)※最大TDP65W
対応CPUクーラー 高さ54mmまで
メモリースロット 4 x DDR4 DIMM(最大128GB)
チップセット B660
サウンドチップ Realtek ALC897
対応ストレージ 3 x SATA3 6.0Gb/s
1 x Hyper M.2 Socket(SATA3 6.0Gb/s & PCIe Gen4x4)
1 x Hyper M.2 Socket(PCIe Gen4x4)
拡張スロット 1 x PCIe 4.0 x 16
1 x M.2 Socket (Key E)
フロント出力/入力 1 x ヘッドフォン/ヘッドセットジャック
1 x USB 3.2 Gen1 Type-C
2 x USB 3.2 Gen1 Type-A
2 x USB 2.0 Type-A
後部出力/入力 1 x DisplayPort 1.4
1 x HDMI
1 x D-Sub
2 x USB 2.0
2 x USB 3.2 Gen1 Type-A
1 x RJ-45 LAN ポート
HD オーディオ ジャック: ラインイン / フロントスピーカー / マイクロフォン
容積 8L
電源 500W電源(80+ Bronze、ピーク 550W)
サイズ 168 (幅) x 236.1 (奥行) x 221.6(高さ) mm
参考価格 約35,000円
モガ
DeskMeet B660とDeskMeet X300の仕様は基本的に同じですが、DeskMeet X300は、「PCIe 4.0に非対応」、「SATA3.0ポートが2本」、「M.2スロットが1本」と、DeskMeet B660に比べると、劣化している点があります。

インテルCPU向け

AMDCPU向け

DeskMeet B660の同梱物をチェック

ここからは「DeskMeet B660」を開封して、同梱物をチェックしていきます。

DeskMeet B660の箱外箱です。思ったより巨大だと感じました。

DeskMeet B660の同梱物一覧同梱物一覧です。それぞれ一つずつ詳しく見ていきます。

DeskMeet B660のマニュアルマニュアルです。図解入りでかなり分かりやすいです。

DeskMeet B660のネジ類ネジ類です。

DeskMeet B660のSATAケーブルSATAケーブルです。2本付属します。

DeskMeet B660の電源ケーブル電源ケーブルです。

DeskMeet B660の本体DeskMeet B660本体です。中のパーツは発砲スチロールでおおわれて、しっかり保護されています。

DeskMeet B660のマザーボード、電源外装カバーを外すと、マザーボードと電源が入っていました。

DeskMeet B660の外観、内部をチェック

DeskMeet B660の外観をチェックします。また中身のパーツについてもチェックしていきます。

DeskMeet B660の外観サイズは幅が168mm、奥行が236.1mm、高さが221.6mmです。

スリムタワーのPCケース、IN WIN IW-CJ712B/265Bと比較スリムタワーのPCケース、IN WIN IW-CJ712B/265Bと比較してみました。スリムケースなだけあって、幅はDeskMeet B660より遥かに狭いです。ただ、高さはDeskMeet B660のほうが低いです。

ミニタワーのPCケース、S100 TGと比較ミニタワーのPCケース、S100 TGと比較してみました。圧倒的にDeskMeet B660のほうが、サイズ感は小さいです。

デスクの上においても邪魔にならない幅わずか20cmのわずかなスペースにも置くことができます。デスクの上においても全く圧迫感を感じないサイズ感です。

ケースの質感は普通に高いケースの質感は普通に高いです。材質はおそらくスチールですが、表面加工がしっかりしているので、触り心地もサラサラしており、安っぽさを感じさせません。フロントパネルの一部分のみヘアライン加工になっていて、良いアクセントになっています。

DeskMeetのフロントパネルフロントパネルです。フロントパネルには、インターフェースと電源ボタンがあります。

フロントパネルのインターフェースフロントパネルのインターフェースです。上から、 ヘッドフォン/ヘッドセットジャック×1、USB 3.2 Gen1 Type-C×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、USB 2.0 Type-A×2です。

電源ボタン電源ボタンです。ボタン自体が非常に大きいので、押しやすいです。電源をオンにすると、電源ボタン下のライトが点灯します。

DeskMeetは横置きに対応ちなみにDeskMeetは横置きに対応しています。横置きにすると、幅が広くなり、さらにフロントパネルのインターフェースが下側に配置されるので、少し使いづらいと感じました。

DeskMeetの左サイドパネル左サイドパネル

DeskMeetの右サイドパネル右サイドパネル

サイドパネルです。右サイドパネルのみ穴が開いています。

DeskMeetのバックパネルバックパネルです。マザーボードのインターフェースがあります。

また、ビデオカードを搭載する場合、そのインターフェースにもアクセスできます。電源のスイッチつきコンセントにもアクセスできます。

DeskMeetのマザーボードのインターフェースマザーボードのインターフェースです。上から、HD オーディオ ジャック(ラインイン / フロントスピーカー / マイクロフォン)、RJ-45 LAN ポート×1、USB 2.0×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、D-Sub×1、DisplayPort 1.4×1、HDMI×1です。

今では絶命寸前のD-Sub端子があるのは、かなり珍しいと思います。

DeskMeetのトップパネルトップパネルです。穴が開いています。

DeskMeetのボトムパネルボトムパネルです。ボトムパネルにも穴が開いています。

DeskMeetのマザーボードここからは内部を見ていきます。まずマザーボードです。AsrockのMini-ITXサイズのB660マザーボードです。

DeskMeetのメモリスロットメモリスロットです。DDR4に対応し、さらにメモリスロットが4本あります。Mini-ITXサイズのマザーボードの多くは、メモリスロットを2本採用しているのでかなり珍しいです。

DeskMeetのSATAポートSATA 3.0ポートが3本あります。

DeskMeetのPCIe 4.0 x 16スロットとM.2 スロットPCIe 4.0 x 16スロットとM.2 スロット(PCIe Gen4x4、SATA3)です。

Key EのM.2スロットKey EのM.2スロットです。Wi-Fiカードを搭載できます。

アンテナケーブルを配線Wi-Fiカードから出ているアンテナケーブルもケースの隅に這わせるように配線できます。

マザーボード裏側にもM.2スロットマザーボード裏側にもM.2スロット(PCIe Gen4x4)があります。

専用MOSFETヒートシンクを搭載専用のMOSFETヒートシンクを搭載しているので、ある程度の放熱には期待できそうです。

Realtek ALC897サウンドチップはRealtek ALC897を採用しています。

2.5インチSSDを2台、若しくは3.5インチHDDを1台搭載背面インターフェースの上あたりに、2.5インチSSDを2台、若しくは3.5インチHDDを1台搭載できます。

2.5インチSSDを2台、若しくは3.5インチHDD、120mmファン、ラジエーターを搭載ビデオカードを搭載する側にも2.5インチSSDを2台、若しくは3.5インチHDDを1台搭載できます。また、120mmファンや簡易水冷のラジエーターを取り付けることも可能です。

ただし、ビデオカードを搭載する場合、こちらにストレージや120mmファン、簡易水冷のラジエーターなどを搭載することはできなくなります。

モガ
DeskMeet B660は、M.2×2、2.5インチSSD×2、3.5インチHDD×1という組み合わせで、最大5台のストレージを搭載できます。

500WのATX電源

500WのATX電源(80+ Bronze、ピーク 550W)です。外見は普通の電源ですが、内蔵の120mmファンが通常の電源と異なり、逆向きに配置されています。

内蔵の120mmファンからの空気をCPUクーラーに直接当てることが可能引用:Asrock公式ページ

このファンの逆向きの設置により排気になり、電源から出た空気をCPUクーラーに直接当てることが可能になります。

GPT500S-A電源の型番は「GPT500S-A」です。CWT製となっています。

電源のコネクタ電源のコネクタは、以下のようになっています。

・24pin ATX電源コネクタ×1
・8pin 12V電源コネクタ×1
・8pin PCIe補助電源コネクタ×1
・SATA電源コネクタ×2

DeskMeet B660の組み立て方を解説

ここからは実際に各パーツを組み込んで、DeskMeet B660を組み立てていきます。

サブPCに組み込まれていたパーツをそのまま流用その前に用意したものを紹介します。DeskMeet B660にはベアボーンキットなので、PCケース、マザーボード、電源が用意されていますが、CPU、メモリ、ストレージ、ビデオカードは自分で用意する必要があります。

そこでサブPCに組み込まれていたパーツをそのまま流用することにしました。用意したパーツは以下の通りです。

用意したパーツ
CPU Core i5-12400
CPUクーラー リテールクーラー
ビデオカード RTX 3050
メモリ W4U2666CX1-16G×2
ストレージ PNY XLR8 CS3030 1TB
WD40EZRZ 4TB
Wifiカード AX200.NGWG.DTK

ボトムパネルのネジを外す

それでは組み立てを開始します。まずボトムパネルのネジを外します。

外装を取り外す外装を取り外します。背面にある出っ張りをつかむとスムーズに取り外しができます。

電源とマザーボードに分けるピンク色の発砲スチロールを外し、電源とマザーボードに分けます。

CPUを装着CPUを装着します。

メモリを取り付けメモリを取り付けます。

M.2 SSDを装着M.2 SSDを装着します。今回はM.2 SSDを1つ装着するので、マザーボード裏側のM.2スロットは使用しません。

Wi-Fiカードを搭載Key EのM.2スロットにWi-Fiカードを搭載します。

アンテナがはまらないWi-FiキットのAX200.NGWG.DTKでは、アンテナがはまりませんでした。アンテナホールが小さすぎます。DeskMeet専用のオプションキットじゃないとうまくはまらないのかもしれません。今回はアンテナなしで装着しました。

CPUクーラーを装着CPUにグリスを塗り、CPUクーラーを装着します。なお、今回はリテールクーラーを使用しました。リテールクーラーは高さ54mm以内なので、問題なく装着できます。

HDDを取り付けHDDを取り付けます。上部の2本のネジで固定します。なお、SATAケーブルと、SATA電源コネクタをあらかじめHDDに取り付けてから作業したほうがスムーズに固定できます。

サイドからネジで固定反対側に回って、サイドからネジで固定します。これでHDDはしっかり固定されます。

PCIスロットカバーを外すPCIスロットカバーを外します。なお、一度外すと二度と戻らないタイプです。ビデオカード等を取り付ける予定がなければ、外さないでおくことをおすすめします。

金具のロックを解除ビデオカード等を固定するための金具のロックを解除します。

ビデオカードを搭載ビデオカードをPCIe 4.0 x 16スロットに差し込み、金具をロックし、ビデオカードを固定します。

ビデオカードのファンがしっかり露出サイドから見ると、ビデオカードのファンがしっかり露出しているのが確認できました。

配線作業を完了24pin ATX電源コネクタ、8pin 12V電源コネクタ、8pin PCIe補助電源コネクタなどを繋ぎ、配線作業を完了させます。

電源をネジで固定ファンが下向きになるように電源をネジで固定します。

配線を空いているスペースに押し込む配線を空いているスペースに押し込みます。

外装カバーを取り付け外装カバーを取り付けます。

ボトムカバーのネジをしめるボトムカバーのネジをしめます。

ゴム脚をつけるゴム脚をつけて、組み立て作業は完了です。

DeskMeet B660の温度、騒音をチェック

PCケースが小型だと、熱がこもりやすく、CPUの発熱が激しくなり、またそれに伴ってファンが全開で回るので、かなりうるさくなります。

DeskMeetもかなり小型なのでそのあたりは心配です。そこで、負荷をかけた状態のCPU温度と騒音をチェックします。

Cinebench R23(10分連続テスト)を実行し、CPU温度の推移をチェックCore i5-12400の電力制限を解除して、Cinebench R23(10分連続テスト)を実行し、CPU温度の推移をチェックしました。

CPU温度は最高83℃まで上昇しました。リテールクーラーでも十分冷やせています。

電源ファンの風が上からCPUクーラーに直接当たる電源内の逆向きに配置された120mmファンによって、直接上から風をCPUクーラに当てることが可能になっています。それによってCPUを冷却できているのだと思われます。

サーマルカメラで撮影高負荷中にサーマルカメラで撮影してみました。穴が開いている箇所で温度が高くなっています。穴をふさぐとエアフローが悪化する可能性があるので注意が必要です。

普通のATX電源に入れ替え付属の電源から普通のATX電源に入れ替えるとCPU温度にどう影響を与えるのか検証してみました。

普通の電源に変えて、Cinebench R23(10分連続テスト)を実行し、CPU温度の推移をチェックCPU温度は最高98℃まで上昇しました。明らかにCPUを冷やし切れていません。

この状態で使い続けると、各パーツへダメージが蓄積し、寿命を早めてしまうかもしれません。DeskMeetでは付属の電源を使うのが必須となります。

最後に騒音をチェックします。

アイドル時の騒音アイドル時の騒音

高負荷時の騒音高負荷時の騒音

アイドル時は30dbA前後でほぼ無音でした。一方、CPUとビデオカード両方に負荷がかかる、FF14ベンチマーク実行中の騒音は38dbA前後でした。サーという音が聞こえますが、そこまで耳障りではないです。

といっても、これはあくまでも自分の環境の話であって発熱の多いCPU、ビデオカードを使用した場合、ファンはより高回転になると思うので騒音はさすがに気になるかと思います。PCケース自体穴だらけなので、静音性に過度な期待はしないほうがいいです。

DeskMeet B660の良かったところと悪かったところ

ココがおすすめ

・PCケースが小型なのにビデオカードが入る
・一般的なPCケースと比べるとはるかに小型
・エアフローが考えられており、CPUが意外と冷える
・騒音が小さい
・フロントパネルのインターフェースが豊富
・背面のインターフェースにD-Sub端子がある
・フロントパネルにUSB-C端子がある
・メモリスロットが4本ある

ココがダメ

・B660バージョンとX300バージョンの価格差(X300バージョンのほうが遥かに安い)
・CPUクーラーの高さ制限が厳しい(高さ54mmまで)
・普通の電源は使用できない
・DeskMiniに比べるとサイズは大型
・長さ20cm以上のビデオカードは搭載不可
・少し組みづらい(特に自作PC初心者)

まとめ

ミニPCとして考えると、確かにDeskMeetはかなりサイズ感はあります。実際、DeskMiniと比べると、そのサイズ感の違いは一目瞭然です。

ただ、ビデオカードを搭載できるPCということを考えれば、驚異的な小ささといえます。

DeskMeetは、ビデオカードを搭載する予定で、小さいPCを構築したいという方にまさにぴったりの商品といえます。

インテルCPU向け

AMDCPU向け

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