あらゆるものが高騰している昨今ですが、もちろんPCパーツも例外ではありません。何も考えなしにPCパーツを選定していったら、簡単に予算オーバーします。
ただ、コスパの高いPCパーツをきちんと選定しさえすれば、限られた予算で収まる可能性が高まります。
今回は総額15万円で最適なPCパーツを選定し、コスパの高いゲーミングパソコンの構成案を1つ紹介したいと思います。

PCパーツの価格は2023年10月1日現在です。価格が変動や、在庫切れで購入できない可能性もありますのでご了承ください。
自作パソコンで必要になるパーツとは
パソコンを構築するうえで必要になるパーツは以下の通りです。
- CPU
- CPUクーラー
- マザーボード
- ビデオカード
- メモリ
- ストレージ
- 電源ユニット
- PCケース
- OS
この中で断トツで高額なのがビデオカードです。予算はなるべくビデオカードに投入し、残りのパーツでどれだけ節約できるかがポイントになります。
CPU


そのため、CPU性能も過剰に高くする必要はありません。価格が安く、性能もそこそこ高いといったCPUを選ぶべきです。
2023年10月現在、その条件に合致するのは、AMDのZEN3のCPUになります。後継のZEN4が出たことにより、ZEN3の価格は急激に安くなっており、お得感が強まっています。
ここでは、Ryzen 7 5700Xを選びます。
Ryzen 7 5700Xは、ZEN3の8コア16スレッドのCPUです。上位モデルのRyzen 7 5800Xからクロックを若干低下しているものの、仕様はほとんど変わっていません。
L3キャッシュの容量は32MB、PCI-Express4.0にも対応など、Ryzen 7 5800Xと共通点も多く、性能低下もほとんどありません。
さらに、100WのRyzen 7 5800Xと比べて、Ryzen 7 5700XはTDPが65Wと扱いやすくなり、価格も大幅に下がっています。
Cinebench R23でCPU性能を計測してみました。デフォルト時で、マルチスコアが13763、シングルスコアが1524でした。
PBO(Precision Boost Overdrive)を設定したところ、マルチスコアは15328まで伸びました。シングルスコアは1502と逆に落ち込みましたがほぼ誤差の範囲内です。
ちなみにこのスコアは上位CPUのRyzen 5 5800Xとほぼ同等のスコアです。



PBO(Precision Boost Overdrive)は簡単に言うと、冷却に余裕があるとき、自動的にOCしてくれる機能のことです。


ちなみに、AMD公式のオーバークロックツール「Ryzen Master」で簡単にPBOを有効にできます。
Ryzen 7 5700XにはCPUクーラーが付属しないので、別途社外品のCPUクーラーを購入する必要があります。


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CPUクーラー


Ryzen 7 5700Xの発熱はそこまで高くありません。大型の空冷や簡易水冷といった高価なCPUクーラーは必要ありません。価格の安いCPUクーラーで問題ありません。
ここでは定番のDeepCool AK 400をおすすめします。DeepCool AK400はのサイドフローの空冷CPUクーラーです。価格の安い割に冷却力に優れ、定番のCPUクーラーとなっています。


AK 400を装着し、PBOを設定して、Cinebench R23(10分間)を実行しました。
Package Powerは120Wに増加していますがCPU温度は80℃前後までしか上がらず、CPUの発熱を押さえこんでいます。AK 400で問題なく、冷却できているのがこの結果から分かるかと思います。
ちなみにCPUグリスはあらかじめ、受熱ベースプレートに塗布されているので、別途購入する必要はありません。




マザーボード


Ryzen 7 5700XはPcie 4.0に対応し、さらに後述するビデオカードもPcie 4.0に対応しています。Pcie 4.0非対応のA520では性能をフルに発揮できないので、Pcie 4.0対応で、かつ価格の安いB550マザーボードを選択します。
おすすめのB550チップセットマザーはASUS PRIME B550M-Aです。


VRMはディスクリートMOSFET採用でフェーズ数は6+2。さらにVRMヒートシンク付きです。Ryzen 7 5700Xを運用するうえで全く問題にはなりません。




M.2スロットは2基、SATAは4基、メモリスロットは4基、USBポートは6基と、拡張性は優秀です。ただ、残念ながらWIFI機能はありません。
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WIFI機能が欲しいのなら、MSI B550M PRO-VDH WIFIがおすすめです。WIFI機能付きなのに価格が抑えられています。さらに、M.2スロットは2基搭載、その内1つのM.2スロットには専用ヒートシンクが付属したりと基本スペックも優秀です。


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ビデオカード


ゲーム性能に最も直結するPCパーツ、それがビデオカードです。ビデオカードの性能が高ければ高いほど、ゲームは快適に動きますが、同時に価格も上がっていきます。
特に昨今、ビデオカードの価格高騰は凄まじいものがあり、ハイエンドとなると余裕で10万円以上します。
そこでおすすめしたいのが、ミドルクラス帯のビデオカードです。
現在、ミドルクラス帯で最もおすすめのビデオカードは、RTX 4060 Tiです。
ゲーミング性能は、RTX 3070に匹敵し、さらに、AV1エンコード & DLSS 3.0対応、さらに消費電力もRTX3070に比べて60W削減と、大幅に省エネとなっています。それでいて価格も6万円前後とギリギリ買いやすい価格となっています。
RTX 4060 TiのフルHDゲーミング性能は、余裕の一言です。Fortniteの位の負荷のゲームであれば、144fpsを維持してのゲームプレーも十分可能です。WQHDゲーミング性能も余裕というわけではないですが、CyberPunk 2077のような重量級ゲームですら、平均60fpsでプレーできます。


CPU:Ryzen 7 5700X、ビデオカード:MSI RTX 4060 Ti VENTUS 2X BLACK 8G OC、マザーボード:ASUS PRIME B550M-A 、メモリ:CFD W4U3200CS-8G(8GB×2/3200MHz動作)、システムSSD:KIOXIA EXCERIA G2 1TB、電源:玄人志向 KRPW-BK650W/85+、PCケース:Thermaltake S100 TG
RTX 4060 Tiは様々なモデルがありますが、今回は玄人志向 GG-RTX4060Ti-E8GB/OC/DFを選びます。
価格が安いだけでなく、バックプレート装着済みで、冷却に優れたデュアルファン搭載、さらに保証が3年と、様々な点が魅力的なモデルです。
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メモリ


ゲーム用途であればメモリの容量は16GBで十分です。もし足りないようであれば、あとで買い足せばいいだけです。マザーボードのASUS PRIME B550M-Aにはメモリスロットが4基あるので、増設も容易です。


おすすめのメモリはCFD W4U3200CS-8Gです。2枚組で、8GB×2のデュアルチャネルが構築できます。JEDEC準拠なので、つけるだけでDDR4-3200で動きます。
さらに、購入後1カ月は返金対応してくれるメモリ相性保証サービスがついているので安心感があります。


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ストレージ


また、今回マザーボードにM.2スロットがあるので、M.2 SSDで探したいと思います。
おすすめのM.2 SSDはキオクシアのEXCERIA G2 1TBです。


エントリークラスのM.2 SSDですが、このクラスでは珍しく、TLCNAND採用かつ、DRAMキャッシュを搭載しています。大量のデータを書き込んでも落ちにくい強みがあります。


性能自体は控えめですが、その分、発熱少な目で扱いやすいです。安定性が重要なシステムドライブとして、このEXCERIA G2は無難な選択肢の1つとなっています。


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電源ユニット
電源ユニットですが、正直選び方は難しいです。信頼性を重視した電源だと、余裕で2万円以上するので、予算オーバーにつながりやすいです。そのため、コスパを重視するのなら、手頃な価格の定番電源を選ぶべきです。
おすすめは、650W電源のASUS TUF-GAMING-650Bです。TUFシリーズに属するので、コンデンサとチョークはミリタリーグレード認証をうけています。
PCB保護コーティングで、埃や湿気に強いです。また、TDPが30%以下になると、ファンを停止させる、0dBテクノロジーが採用されています。
低価格帯の電源としては珍しく、6年保証付きと長期間の保証がついているのも嬉しいです。


セミプラグイン式が欲しいのであれば、玄人志向 KRPW-BK650W/85+がおすすめです。


セミプラグイン式では不要な線を外すことが可能です。配線が楽になるだけでなく、PCケース内に余裕をもたらすことができます。
アルミ電解コンデンサーは全て日本メーカー製の耐熱105℃品を採用と、信頼性も高いです。ただし、保証は3年間と短いのでその点は注意が必要です。


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PCケース


ただ、あえておすすめするのなら、Micro ATXケースのThermaltake S100 TGです。
この価格帯としては珍しく、スイングドア式ガラスパネルを採用しています。コスパが高いということで、今現在も売れ筋ランキング上位のPCケースです。


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OS


DSP版だと安く購入できますが、セットで購入したハードウェアを組み込んだPCに対してのみインストールという厳しい制限があります。
DSP版はライセンス上、異なるPCに使いまわせないので、素直にパッケージ版をおすすめします。


パッケージの中にはインストール用のUSBドライブが入っています。
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パーツ構成まとめ
パーツ | 製品名 | 参考価格※2023年10月1日 |
---|---|---|
CPU | Ryzen 7 5700X | 28,200円 |
CPUクーラー | Deep Cool AK400 | 3,021円 |
マザーボード | ASUS PRIME B550M-A | 11,980円 |
ビデオカード | 玄人志向 GG-RTX4060Ti-E8GB/OC/DF | 58,030円 |
メモリ | CFD W4U3200CS-8G | 3,912円 |
ストレージ | キオクシア EXCERIA G2 1TB | 6,480円 |
電源ユニット | ASUS TUF-GAMING-650B | 8,980円 |
PCケース | Thermaltake S100 TG | 4,864円 |
OS | Windows 11 HOME パッケージ版 | 15,510円 |
総額 | 140,977円 |
各パーツすべてをAmazonで購入した場合の予算総額です。各パーツを切り詰めれば、このように総額15万円のラインに抑え込むことも十分可能です。
もし金銭的に余裕があれば、メモリを32GBに、若しくはM.2 SSDを2TBにアップグレードしたり、PCケースのファンを追加してもいいかもしれません。
まとめ
ZEN3とそれに対応するマザーボードが驚くほど安くなっているため、以前よりも15万円の予算内でゲーミングパソコンを構築しやすくなりました。
パーツ選定さえしっかりやれば、予算15万円でも立派なゲーミングパソコンは作れるので、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。

